【今の運送業はここまで進化した!】昔と今の違いを徹底解説
ライチさんの業界20年以上の経験から、運送業で昔より良くなったこととかありますか?
昔は昔で良かったこともあるけど、やっぱり今の方がずっと楽というか、便利になったことが多いと思うよ
この記事では、2024年の運送業界で昔(20年ほど前)よりも良くなったことを採り上げていきます。
1. 高速道路の整備・充実
まず、なんと言っても高速道路が充実したことだよね
昔は東京↔︎名古屋↔︎大阪を高速道路で移動するとなると、名神高速、東名高速、中央道くらいしかなかった
それが、2012年に新東名高速道路が開通して、ルートの選択肢が増えた
どこかが渋滞していても迂回ルートが選べることで昔よりスムーズに運行できるようになったと思うよ
交通量が分散されて、高速道路を走りやすくなったのもある
へえ〜、新東名って出来てからまだ12年くらいなんですね
新東名高速道路ができるまでの夜間の東名高速は、よく長距離トラックがずらっと列をなして走行していたね
なんというか、魚群の中を泳いでいるような感覚になったこともあるよ(笑)
高速道路などの交通インフラの整備によって、長距離輸送がより迅速かつ安全に行えるようになりました。
物流拠点間の移動時間が短縮され、効率的なルート選定が可能に。
現在も阪神高速などで延伸工事が進められていて、今後もますます高速道路は便利になっていくだろうね!
2. 通信技術の進歩
インターネットの発達によって、運行管理の業務も効率化が進みました。
運送会社のパソコンでは、自社のトラックの現在位置をGPSを利用してすぐに把握できるようになっています。
運転手が荷積みや荷下ろし中のボタンを押していれば、作業中ということが事務所で把握できたりと、運行管理をおこなう事務所側からすると随分便利になりました。
昔はいちいち事務所から電話がかかってきて、「今どのあたり?」、「先方に着いたら連絡ちょうだい」といったように確認の連絡が頻繁にあったものです
運転中に電話をとる手間が省けるし、インターネットの発達で仕事の効率化は随分と進んだと思います
3. スマートフォンが運送業のハードルを下げた
私はスマホのナビアプリがないと仕事できないかも?っていうくらいナビに頼ってます
うん、これが一番便利になったことかもしれないね
私が20代でトラックを運転していた頃、初めて行く配送先は住所を確認してから、昭文社のスーパーマップルなどの地図を広げて、ルートを確認してから運行を開始していました
トラックに乗りたての頃は関東、中部、関西、九州、北陸、四国、と地域ごとに何冊も地図を買ってトラックに積んでいたものです
これで配送先へ行くことはできるんだけど、ちょっと田舎だと番地まで見ていっても詳しい位置まではわからないこともありました
配送先の近辺に行ってからトラックを停めて、交番や消防署や、ときには付近にお住まいの方に配送先の場所を聞いたりすることもありました
そんなこんなから現在は…
私はトラックに乗るときはスマートフォンのカーナビタイムというアプリを使ってスムーズな運行をおこなっています
スマートフォンのナビアプリは、運送業のハードルを大きく下げたと言っても良いくらいそのメリットは大きいです。
とくに時間の短縮ができるのが大きい。
地図を開いて何ページのどこを見て、どこの信号を曲がって…っていうアナログな確認作業をしなくても良くて、時間の短縮ができるのが大きいですね
そうだね、そんな手軽感を覚えたらもう過去には戻れない
以下には、そんなナビアプリのメリットをいくつか挙げていきます。
配送先の住所を打ち込めば、最適なルートをナビしてくれる
もう地図とにらめっこして目的地を探す、という作業の時間は必要なくなりました。
最近のナビアプリは本当に良くできていて、安心感があり、信頼できます。
ひと昔前の何十万円もしたカーナビが、今では手軽にスマホで見れる時代なんですね
もし、うっかりして曲がる予定の道を通り過ぎてしまい運行ルートを外れてしまった場合でも、瞬時に別ルートを案内してくれますし、配送先の入り口まで確実に案内してくれます
音声案内があるので、画面を見る必要がなく安全に運行できる
これも本当に助かる機能です。
「次の交差点を右折です」といったように音声で道案内してくれるので、トラックにスマホを固定する台がなくても、運転席のどこかにスマホを置いているだけでいいんです。
信号待ちなどで画面を見れるときは良いですが、走行中はよそ見をした数秒の間でもトラックは数メートル進んでいます。
安全運転の面からしても、画面を見なくても良いのは本当に助かります
通信で常に最新の道路地図データを取り入れて案内してくれる
例えば、備え付けのカーナビは、道路データを毎年購入して更新していかないと、どんどん年を追うごとに内臓されている情報が古くなってしまいます。
あまりに古いデータのナビは、酷いときには道のない空間を案内されることもありますが、スマホのナビはその心配はありません。
普段使っているスマートフォンが、常にインターネットから最新の道路情報を取り込んで案内してくれるカーナビになるんです。
技術の進歩に感謝です。
本当に良い時代になりました。
GoogleマップやYahooのナビは無料で使えますが、トラックでは対向車が来た場合に離合が困難なほどの狭い道を案内されるなど、融通が効かないこともあります
私は車のタイプを設定して、それに合わせてルートを選んでくれるナビタイムのアプリに落ち着きました(月額課金のアプリですが、使ってみると値打ちがあるとわかりますよ)
4, 荷物の追跡システムの進化
これも飛躍的に進歩しましたよね
通販で買ったものが、なかなか届かなくて今どうなっているのか配送業者の営業所に確認の電話をしたこともあります
今ではネットですぐに配送状況を確認できますよね
かつては荷物の配送状況を確認することが難しく、顧客からの問い合わせに対して詳細な回答ができないことがありました。
しかし、現在ではバーコードやQRコードを使用した荷物追跡システムが導入されていて、荷物の現在の位置情報や配送予定時刻をリアルタイムで確認することが可能です。
これによって顧客対応がスムーズになり、信頼性の向上にも寄与しています。
5. 車両の進化による快適性の向上
私どもの仕事道具、トラックも段々と進化して環境に配慮した仕様になったり、車内の快適性が増したりと進化を遂げてきました
僕たちがトラックに燃料と同じように補給している尿素水溶液のアドブルー(AdBlue)も、有害な排気ガスを削減するために導入されたんですよね
そうだね
ただ、アドブルーが空っぽになったままでエンジンを切ると、次にエンジンをかけようとするとかからなくなるんだよね
ドライバーにとっては、ぶっちゃけ優しくない仕様になっていたりもする(笑)
そんな、あちらを立てればこちらが立たず、みたいなこともあるトラックの事情ではありますが、トータルで見れば確実に発展してきており、ドライバーが快適に配送業務をおこなえるように進化を重ねています。
燃費性能の向上
運送業にとって、車両の燃費は非常に重要な要素です。
軽油のコストが1円変わるだけで、会社の規模によっては何千万円からと経費が変わってきますからね
昔のトラックは燃費が悪く、頻繁に燃料を補給しなければならないこともありました。しかし、近年の車両は電気を利用したハイブリッド車なども登場し、全体的に燃費性能が向上しています。
これによって燃料コストの削減が図られ、ドライバーの負担も軽減されています。
自動運転技術の進展
自動運転技術の研究と実用化が進むなか、運送業界でもその恩恵を受け始めています。
完全自動運転はまだまだ発展途上ですが、車線維持支援や、自動ブレーキなどの支援システムが既に多くの車両に搭載されています。
これによって長時間運転による疲労を軽減し、交通事故のリスクを減少させる効果が期待されます。
トラックにオートクルーズ(クルーズコントロール)が導入され始めたのは私がトラックの仕事を始めて少し経ったくらいからでしょうか
最近のトラックでは、前方を走る車と一定の車間距離を保ちながら速度調整する機能や、追突防止のために車間距離が近づきすぎると警告音を鳴らす機能など、事故回避のためのシステムが導入されていて、事故防止に役立っています
快適なキャビン環境
昔のトラックは、ドライバーの快適さにあまり配慮されておらず、現在ほどの快適さを保つ機能が付いていなかったり、座席が硬く長時間の運転が非常に疲れるものでした。
しかし、現代のトラックは快適なシート、騒音対策などが施され、ドライバーの疲労軽減に貢献しています。
さらには、休憩時に仮眠が取れるよう、ベッド付きのキャビンも標準装備されている車両が増えています。
一部のトラックでは、キャビンの上部にロフトのようにベッドが備えられているトラックもあります
ベッドの質感も、昔は硬くて寝心地まではあまり考えられていなかったようなものもありましたが、最近ではフカフカの弾力性のあるベッドになっている車種も増えています
5. 労働環境の改善
2024年問題を機に、運送業界では労働環境の改善が急速に進められています。
2024年4月に施行された新たな労働基準法改正によって、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が、年間960時間に制限されることになりました。
この規制によって、過剰労働が抑制されることが期待されています。
実際に、徐々にではありますが、ドライバーの負担は軽減されてきています
より働きやすく、安全な職場が整備されつつあります
運送業界が抱える課題はまだ残っているものの、技術の進展や法規制の強化によって、より持続可能な形での成長が期待されます。
労働時間の管理
運送業界では、長時間労働や過重労働が大きな問題となっていました。
しかし、現在では労働基準法の厳格化によって、運転時間や休憩時間の管理が徹底されるようになりました。
また、デジタルタコグラフや運行管理システムにより、ドライバーの労働時間が自動的に記録され、企業側も適切な管理が行えるようになっています。
これによって、無理なスケジュールでの運行が減少し、ドライバーの健康や安全が守られるようになりました。
ドライバーが適切に休息・休日を取れるようになって、仕事とプライベートのバランスが改善される方向に向かっていると思います
運賃の適正化とコストの見直し
運送業者にとって、労働時間の短縮は大きな課題ですが、その一方で運賃の適正化が進むことが期待されています。
昨今ではドライバーの確保が難しくなっており、これが運賃の値上げや、取引先へのコスト見直しを求めるきっかけとなっています。
これによって、運送業界全体の利益率が改善され、企業がドライバーに対して適切な賃金を支払うことが可能になります。
実際に給料は“わかりやすく”上がってきています
賃金を上げていこうという業界全体の機運を感じますね
働きやすい職場環境の提供
近年、多くの企業が従業員の働きやすさを考慮した施策を導入しています。
例えば、女性や高齢者のドライバーを積極的に採用し、体力に不安がある人でも働けるような業務の分担や、車両の改良が行われています。
また、福利厚生の充実や研修制度の強化によって、従業員のスキルアップを支援する企業も増加しています。
従来の3K(キツい、汚い、危険)といわれたイメージが少しずつ払拭されて、働きやすい職場が増えてきています
採用活動と教育の充実
労働環境の改善を進める中で、新たなドライバーの確保が課題となっています。
そのため、業界全体で採用活動が活発化し、特に若年層や未経験者に対する教育制度や免許取得支援の制度が強化されてきています。
新人ドライバーの育成や、資格取得支援などを通じて、長期的に人材を育成し、業界全体の人手不足に対応しようとする動きがあります。
物流の自動化とIT化の進展
労働力不足や労働時間の短縮に対応するため、物流業界では自動化やIT化が急速に進んでいます。
具体的には、高速道路に専用道路を建設して無人配送車を走らせる構想や、ドローンによる配送、倉庫内でのロボットの活用が検討されています。
ドライバーの負担が減って、業務の効率が向上することで、少ない労働力でも業務を回せるようになりそうですね
まとめ
運送業界は長年にわたり大きな変化を遂げてきました。
テクノロジーの発展や社会のニーズの変化に伴って、仕事のやり方や労働環境が大幅に改善され、以前よりもはるかに効率的で快適なものとなっています。
そして、2024年の現代は、AI(人工知能)の発達や完全自動運転への移行に向けた過渡期のような時代です。
ただ、少なくとも私たちが現役で仕事をしている間は、まだまだドライバーの仕事は人間がやらなければ務まらない仕事であると思われます。
危険物取扱者の資格がないとできない荷役作業だったり、特殊な配送業務ほど、AIが取って代わりにくい仕事になりますね
この記事では過去20年ほどを振り返って運送業界でよくなったことを取り上げてきました。
さらにこの先、運送の仕事は新しく登場する機械やシステムによって便利になり、働きやすくなっていくと思われます。
最近では、大企業がフォークリフトの荷役作業のオート化に成功したニュースが採り上げられていました
今後もAIの発展とともに、運送の“しんどい部分”を改善していってくれることに期待したいです
ではまたっ、ピース!