電柱運搬のトラック(ユニック車)の仕事はどんな感じ?稼げる?
ライチさん、電柱を運ぶトラックの仕事ってどんな感じ?
ひとことで言うと、慣れたらかなり楽な仕事だよ
私の場合は、この楽さでこんなに給料もらっていいのか申し訳なくなるような月もありました
今回は、電柱運搬のトラックの運転手という、ちょっと地味でレアな仕事について解説します。
先ほど仕事は楽だと言いましたが、繁忙期はそれなりに慌ただしくしておりますし、市民の生活のための重要な役割を果たしている責任のある仕事です。
考えてみてください。
街中で見かける電柱、あれがなかったら電気も通信も止まってしまいますよね?
そんなインフラを支える仕事をしているのが、電柱運搬のトラックドライバーです。
仕事内容①:電柱の重さと長さに挑戦
電柱運搬の運転手の主な仕事は、その名の通り電柱を運ぶことです。
電柱の運搬には、主にユニック車と呼ばれるクレーンが備えられた大型の平ボディーのトラックで運ばれるのが一般的です。
ほかにも2t〜4tトラックで、短めの電柱運搬を担当する仕事もあります。
トラックは長尺の電柱を運ぶために、荷台の後方に「ウマ」と呼ばれる台座を載せてしっかりと固定されています。
電柱運搬用のトラックは、一定の大きさや重さを超える車両(特殊車両)になるため、運行するためには、特殊車両通行許可申請をして、許可をとる必要があります
運搬する電柱は、人の力で積み卸しできない長尺の重量物
電柱は通常、かなりの長さと重量があります。
長さは4m、6mといったものから、大きいもので17m(建てるとガンダムくらいの高さ)にもなる電柱もあります。
さすがに17mの電柱にもなると、交通量の少ない夜中に運搬したり、トラックの前後に誘導車をつけます
重さは、一本500kg〜3t近くなるものまであり、
- トラックの操作
- 荷物の取り扱い
これらの作業には細心の注意が必要な、難易度高めの仕事です。
長い電柱になると、車体の前後に電柱が飛び出す姿になるので、安全のために赤い旗を電柱の先端部分に取り付けます
運転スキルが問われる
運搬先は、
- 住宅街などの狭い道
- カーブの多い道
- ときには舗装されていない山道を通ることも
といった様々な電柱の工事現場になります。
ドライバーの道路状況への対応能力や、スキルがかなり求められます。
気をつけないと、住宅街の家の壁に電柱を当てて、弁償問題になる事例もあったりするよ
慣れないうちは、運転中は気を張りすぎて肩がガチガチに凝るかもしれません。
仕事内容②:電柱の積み、卸しも神経をつかう
積み卸しはトラックに備え付けられたクレーンで行います。
電柱の積み卸しをする際は、電柱の重さでトラックが横転しないように、アウトリガーを出さないといけないなど、作業には注意点がいくつかあります。
クレーンでの電柱の積み卸しは、例えると大きなUFOキャッチャーみたいなものですが、操作には慣れが必要です
操作ミスが大きな事故に繋がるからです
↑画像のような玉掛けワイヤーロープで、電柱を釣り上げます。
この吊り上げ作業やクレーンの作業を行なうために、
- 玉掛け
- 小型移動式クレーン
上記の資格が必要になります。
ともに資格を取るためには数万円かかりますが、この仕事を会社から信用して任せてもらえるようなドライバーは、会社が費用を出してくれることが多いと思います。
講習を受けて、簡単な実地試験と筆記試験(真面目に講習を受けていたら合格できます)をするだけなので、お金さえ払えば普通に取得できる資格です。
↑画像の「レバーブロック」と呼ばれる重量物を固縛、固定するための機材を使って、トラックの車体に電柱をしっかり固定し、荷締めします。
運搬の流れ
大手の電力会社の下請け会社が建柱部門を請け負っている場合が多く、その会社の専属の建柱班(電柱を建てるための作業を行なう数名で構成された班)と連絡をやりとりしながら、現場に必要な電柱を運びます。
運ぶ電柱にはいくつかの種類があって、
- 通常の1本ものの電柱
- 2本継ぎ柱(2本の柱をボルトでつないで建てる柱)
- 鋼管柱(鋼鉄製のいくつかの筒状になった柱をブロックのように組み立てる電柱。トラックが入っていけないような狭い場所で用いられることがある)
- 複合柱(下部分がコンクリート、上部分が鋼鉄製の電柱。これも車両が入っていけないほど狭い場所で使われる場合が多い)
- カラー柱(緑色や茶色にカラーリングされた柱。景観を気にするお客さんから依頼があったときに使われる)
これらの多種多様な種類と、長さのバリエーションがある電柱の中から、建柱班からオーダーされた電柱を現場へ運びます。
(引用元:柘運送株式会社 公式チャンネル)
古くなった電柱の建て替え作業(古い電柱の回収)もあります
電柱にも耐用年数があり、何十年も使われた電柱は建て替えが必要です。
建柱班が抜柱(ばっちゅう)した古い電柱を、ワイヤーで吊ってトラックに積み、廃棄場所へ運搬する仕事もあります。
ときには昭和初期に建てられたであろう木柱(木製の電柱)みたいな、珍しい電柱を回収することもあります。
(引用元:兵庫県但馬県民局)
仕事内容③:大変な仕事じゃない?一日の仕事の流れは?
ここまで、だいたいの作業内容を挙げてきました。
気を遣う作業もあるし、大変な仕事じゃないか?と思われるかもしれません。
確かに、運転と作業の時は細心の注意が必要ですが、それ以外の時間は実は待機時間がめちゃくちゃ長いんです。
午前中いっぱい、ずっと待機時間なんていうのもザラです
その理由を解説します。
建柱班はまず現場に入ると、地面の下の調査(電柱を建てれるかどうか)を行います。
その作業中にも、我々は近くのトラックを停められる適当な場所で、いつでも呼ばれたら電柱を卸しに行けるように待機しています。
そしてもし建柱予定だった場所に、
- 地中にガス管が埋まっていたりしたら工事中止
- 雨が降ってきたら電気工事はできなくなるので、工事中止
こういった事情で工事の続行ができないと判断されることもあります。
その日はあっさりと中止の電話連絡があり撤収になります
電柱を卸すことなく、ただ持ち帰ってその日の仕事終了みたいな日が普通にあります。
とにかく待機時間が数時間と長く、ヒマすぎて寝たりスマホを触っている時間がほとんどな日もあるんです。
今日は昼すぎまで昼寝して、午後からソシャゲーのレベル上げをしてました(トラックの中で)
ヤ◯ザの仕事みたいやなw
こんなふうに同僚にツッコミ入れられることもしばしば。
仕事内容④:夜間工事や、電柱の折損があった場合は緊急出勤がある
交通量の多い国道沿いの電柱は、昼間に建柱したり抜柱したりということができないので、たまに夜間工事(例:夜22時〜3時や4時頃まで)で行なう場合があります。
昼間はしっかり睡眠をとっておいて、夜に出勤する変則的な労働時間になります
夜中に急に呼び出しがあったりする折損事故への対応
たとえば、車が電柱に突っ込んで、電柱が折れてしまう事故(折損事故)があります。
電柱は車と衝突したとき衝撃をやわらげるために意外と折れやすい構造になっているんですよ。
こういった場合は、緊急で電柱の建て替えが必要になるので、
◯◯(地名)のあたりに14mの2本継ぎ柱を持ってきてくれ
こんなふうに、夜中でも容赦なく連絡がくる時があります。
他にも、大型の台風が来るときも注意が必要でした
もし折損被害が出たら緊急で呼び出しがあったりします
もちろん、緊急出勤があった場合は時間外労働で割増しの日給がいただけます。
電柱運搬の仕事は稼げる?
基本的に、電柱運搬の仕事も歩合制になっています。
具体的には、その月内に運んだ電柱の本数や、走行距離で給料が上下します。
とはいえ、閑散期みたいな時は歩合だけだと悲惨な給料になることもあるので、最低限いただける給与額が保証される制度はありました。
大型の運搬車で年収400〜500万円くらいです
月収で35万~40万円ほど
4t車の場合はこれより1ランク下がるくらいの給与水準かと思います。
“ワークライフバランス”を考慮すると、この仕事内容でこれくらいもらえるなら良いと思う方も普通にいるでしょう。
電柱運搬は、やりがいのある仕事?
インフラを支える重要な役割を果たすため、やりがいは感じます。
街の電柱を見るたびに、
あの電柱、私が運んだんだよな
と、どこか誇らしく感じることができるでしょう。
繁忙期と閑散期があったりしますが、一年を通して電柱設置の需要は安定しているので、仕事がなくなる心配は少ないです。
台風や地震といった災害時などは復旧作業が急務となって、仕事が増えます。
長く働くにも良い、安定した仕事です
まとめ:電柱運搬は街の灯りを支えているやりがいがあり、給料も少なくはない
電柱運搬のトラックドライバーは、地味に見えて実は重要で、誰にでもできる仕事ではありません。
専門性は高く、収入は比較的しっかり得られる仕事です。
運転技術や資格がものを言う職業ですが、街の綺麗な明かりや、通信インフラを支えている実感が持てるので、やりがいもあります。
荷物の積み卸しは基本的にクレーンで行うので、身体への負担は少ないです。
高齢になるまで長く働くドライバーも多数います。
慣れることが出来たら最高の仕事と言う人も。
ちなみに、私の後任になった4歳下の男性の特徴は、
体格はヒョロヒョロで性格はとても内向的
さらに引きこもりだった経験もありますが、この仕事は人と接することがほとんどなく、
待機中に好きな漫画を読んだりできるので天国ですと話していました(笑)
いかがだったでしょうか。
特殊なスキルを活かして稼ぎたいという方には、ぜひ挑戦してみてほしい仕事です。
ではまたっ、ピース!